
男女混合ならではのカラフルなヴォーカル、キラキラに突き抜けた胸キュン・ポップなサウンドで世界中のインディー・キッズから絶大な人気を誇るウェールズ出身の6人組、ロス・キャンペシーノス!が約2年ぶりとなるアルバム『ノー・ブルーズ』をリリース! 結成時からのメンバーであったベーシストの脱退後初の作品である今作、しかし憂う必要はなにもなかった。ロスキャンは何度でも新たなポップ・マジックを携えて還ってくる!
Los Campesinos! / No Blues
【価格】
mp3、WAVともに 単曲 200円 / まとめ購入 1,500円
【Track List】
1. For Flotsam
2. What Death Leaves Behind
3. A Portrait of the Trequartista as a Young Man
4. Cemetery Gaits
5. Glue Me
6. As Lucerne / The Low
7. Avocado, Baby
8. Let It Spill
9. The Time Before the Last Time
10. Selling Rope (Swan Dive to Estuary)
ティーンエイジからアダルトへの移行

2006年にイギリスで結成、はじけまくるポップ・サウンドで独自の世界観を構築したロス・キャンペシーノス!。結成からこれまでメンバー数名が脱退しつつ、現在は6人で活動を進めている。2011年に4thアルバム『ハロー・サッドネス』を発売後、日本では目立ったアクションが見えなった彼らだが、ついに新作を引っ提げて帰って来た。ちょうど前作から2年、待ちに待ったファンも多かったはずだ。しかし昨年12月、ベースを担当したエレンが脱退してしまった。そんな大きな喪失を迎えた中、どのような変化を遂げたのだろうか。
初期のロス・キャンペシーノス!は輝きづくしの音づくりが大々的に押し出され、そのイメージから「若者ならではの、底抜けの明るさ」が感じられるとして評判となった。しかし彼らはただ明るいわけではなく、時に感傷的で、陰りを帯びた側面を見せることもあったのである。そのワケありな暗部は2009年に発表された3rdアルバム『ロマンス・イズ・ボーリング』あたりから浮き彫りになっていき、どこか内省的な要素が目立つようになった。これは2009年以降度重なるメンバーの脱退も、少なからず影響していると解釈する。その姿はメンバー自体が徐々に年齢的な成熟を見せ、変わりゆく心情に葛藤しているようでもあった。
今作『ノー・ブルーズ』では、大軸としてはバンド・サウンドを基調としつつも、湧き立つようなキーボード・ラインは健在。音としての表現は、これまで彼らが培ってきたものをよりブラッシュ・アップしたような印象を受ける。アルバム全体の雰囲気は、非常に前向きな色合いを見せてくれている。そこには、近年目立っていた、言いようのない寂しさや無常感ももちろん残されている。しかしその状況を前向きに呑み込み、突き進んでいくような力強さが加わったのである。柔軟ゆえにつかみきれなかった、覚悟や踏ん切り。そこを乗り越えたロス・キャンペシーノス!からは、成熟のみならず新たな一歩をつかんだような、そんな安心感さえも感じさせてくれる。ブランクや脱退といった障壁をくぐり抜けた結果、彼らの新旧のアプローチともに織り交ざった作品に生まれ変わっている。
初期の明るさに中期の暗さ。どちらか一方を取るべきか悩むべきところを、ロス・キャンペシーノス!はともに飲み込んでしまった。その懐の深さは、ティーンエイジからアダルトへの移行を端的に表したといえるだろう。一定時期のファンのみならず、これまでの全期間のファンを楽しませてくれるだけの完成度を誇る本作。キラキラもドロドロも、一緒にしてしまえば、案外イケる。むしろ互いが引き立ち、切れ味は増すばかりだ。(text by 高橋拓也)
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PROFILE
Los Campesinos!

2006年3月、イギリスのカーディフで結成。結成直後から精力的なライヴ活動やネット上のデモ音源が話題となり、壮絶なるレコード会社争奪戦の末、人気レーベルであるウィチタと契約。2008年『ホールド・オン・ナウ、ヤングスター...』でデビュー。現在までに4枚のオリジナル・アルバムをリリース。幾度のメンバーチェンジを経て、現在は男女混合6人組として活動している。