2009/11/11 00:00

ステージの幕の向こうで、エンケンさんが燃え盛っている!!!!!! 幕の向こうから感じるただならぬエンケンさんの気配に誰もが息を呑んでいた。その時! バババーーーーーンン!!!! とギターの激しいストローク音と同時に幕がササーーーッッと開いて、鬼のような形相のエンケンさんが登場した瞬間お客さんたちから「うおおおおおお! 」という歓声が上がる!!

1曲目「夜汽車のブルース」だ!!!!
これこそまさに俺の人生を変えた曲、その曲から始まったんだ! しかも今回の「夜汽車のブルース」は今まで聴いた中でも最高に激しかった。ホントにスゲエ! 1曲目からコレかよ!! というほど圧倒的なテンション! ギターとハーモニカだけでガッシガッシと爆走する夜汽車の音を再現している! 目を閉じればでっかい夜汽車が目の前に迫ってくるようだ。そして、目を開けば、そこに全身全霊で音を鳴らすエンケンさんが居る! エンケンさんを初めて見る人が大半であろうお客さんたちの胸ぐらをたった1曲で、掴んだ!

続いて「不滅の男」だ! 俺が18才の頃、生まれて初めて路上ライブやったときの1曲目に歌ったのがこの曲だった。 「♪頑張れよなんて言うんじゃないよ、俺はいつでも最高なのさ」この歌に何度も何度も勇気づけられたんだ。 ああ、今、目の前でエンケンさんが、しかもヨコチンレーベルのマークを背にして歌ってる〜!

続いて「カレーライス」。代表曲いきなり3連発っすか!!この曲もやはり40年間エンケンさんが大事に歌って来た代表曲だが、その時代その時代の「カレーライス」で違うんよね。常に変化してるんよね。指使いがとんでもないことになってる、誰も真似できない、エンケンさんだけの奏法。まさにギターとマイクの会話が全て聴こえてた。 この、動と静の激しい落差がエンケンさんの魅力のひとつでもある。

お客さんたちもア然と言った感じで固まっており、さっきまでノントロッポで踊りまくってたフロアとは一転、みんな座って、食い入るように真剣にステージを見つめていた。163人もいるのに、VooDooはシーーーーーーーンと息を呑んでいた。

エンケンさんは1曲ごとによく喋るのだが、その言葉、ひとつひとつも強烈に力強いメッセージなのである。「かっこつけて英語で歌う必要ないじゃない、日本語が一番得意なら日本語で歌うべきだし、英語が得意なら英語で歌えば良い。もっと素直になるべきだよね、よく自分のアルバムは聴かない、なんて言うミュージシャンいるけど自分も聴かないようなアルバムだったら最初っから作んなきゃいいんだよ。そんなの失礼だよね、大っキライだよ。俺は自分のアルバム一番聴いてるからね、自分が聴きたいと思うアルバムを作ってるんだ。」

そんなことをずっと言っていた。これは初めて見た時から、言い方は違えど同じコトを言い続けている。エンケン用語で云うところの「言音一致」「純音楽」である。シンプルだけど、エンケンさんの言葉は核心を突いて胸に迫る!

自分の音楽は、自分の魂の中にある
素直になろう
ちゃんとしよう

そーいう言葉ひとつひとつに背筋がまたピーンと伸びた。中盤は新曲中心。

「君にふにゃふにゃ」
「とても言えないこんな夢」
「僕は涙がこぼれておちた」
「僕の音楽は本当に良いの」

これがまた、繊細で優しくて、たまらなく泣けてくるんだけど、特に凄い曲だと思ったのは「僕の音楽は本当に良いの」だ。

♪僕の音楽は本当に良いの
僕が頑張って歌い続けている年寄りだから僕を誉めるの
僕はそのお世辞にのって調子にのってるだけなの
今とても自信がないよ

こういう歌を62歳で作れてしまうエンケンさんの魂に震えた。

後半戦は再び激しく「満足できるかな」「踊ろよベイビー」。そしてエレキに持ち替えて、大爆音の「ビートルズをぶっとばせ」「フォロパジャクエンNo.1」!! ジャンルは関係ない!音楽は全て平等だ!! というメッセージを爆音で叩き付ける!! ギター弾きながらドラムも叩きまくる! それはまるで和太鼓のような日本のリズムだ! 鬼神のような形相で、宙を睨みつけながらフロアへ飛び出し、お客さんのど真ん中で演奏! さらにギターアンプに股がりフィーーーードバック!!

そのままステージを降りて本編終了。ものすごい拍手喝采が巻き起こる!!!!!! そしてエンケンさんのライブでは「アンコール」じゃなくて「ワッショール!」だ! ワッショールに応えてエンケンさん再び登場。最後はやはり珠玉の名曲「夢よ叫べ」。16年前、ライブでこの曲を初めて聴いたときは、泣いた。

「夢よ叫べ」
まるでこの世の何もかも 嫌になっちまったのかい
そんな目をしてまたひとつ 溜息ばかり
どうしたんだよあの夢は 欠片も瞬かぬ
そんな夜に 負けるな友よ 夢よ叫べ

ぶっきらぼうに見栄はって どんなに強がっていても
本当はね 誰でも哀しくて 泣きたい夜だってあるよ
それでもみなよほら 可愛いじゃないか 涙も知らぬげに
そうさそんな夜に 負けるな友よ 夢を叫べ

言い訳なんかじゃあの夢は 騙せやしない
どうにも真面目なその心 みじめになるばかり
そんなお前と夢見てる 優しいあの娘
そうさそんな夜に 負けるな友よ 夢よ叫べ

お前がやらなきゃあの夢は 二度とは瞬かぬ
そうさそんな夜に 負けるな友よ 夢よ叫べ

こんなに強くて優しい応援歌を他に知らない。大事に歌い終えるとエンケンさんはお得意の歌舞伎の見栄を切ってのっしのっしとステージを去った。

とてもとても大きな拍手。俺にはまだ主催者としての最後の役目があった。 「ハイコレ100」のシメの言葉を云う為にステージへ上がり、気持ちを伝えようと思ったが、うまく言葉にならない...。すると突然後ろからギュッと抱きしめられた。エンケンさんだった。エンケンさんは小声で「四股踏もう!」と言った。ステージ上でエンケンさんと並んで四股を踏んだ!! そして、ガッチリと手を取り合った! 真剣勝負をした者同士の握手! これ最高のご褒美だよ!! ごめん、さすがに泣いた。

いつもだったらハイコレの最後は胴上げとかだけど、 今夜は胴上げじゃなしに、ちゃんとお礼が言いたかった。みんなに。ハイコレを100回も支えてくれたみんなに。夢を叶えるのを手伝ってくれたみんなに。ありがとう!

ライブ終わってからも凄かったね。興奮に震える者、腰抜けて立てない者、感動に泣く者、ア然としてる者、笑いが止まらなくなってる者、貧血で倒れる者、熱く喋り続ける者、みんなエンケンさんからでっかいものを貰ってた。みんな溢れんばかりの感動を誰かに伝えたくて仕様がないと言った感じだ。
エンケンさんがサインしてくれる物販コーナーには長蛇の列! みんなエンケンさんに真っすぐな感動を伝えていた。 なんと持って来てた何十枚ものCDすべて売り切れ!!! スゲエ!!! 俺、その光景見て、めっちゃくちゃ嬉しかったよ!!! だって俺が18歳のとき、エンケンさんのライブ初めて見たときの興奮を今、みんなが経験してるわけだろ? 嬉しくてたまらんよ!

エンケンさんの「ちゃんとやろう」というメッセージ、きっとしっかり伝わってる。そう言えば、俺もチンロックの最後で無心に叫んだ言葉が「まじめにがんばろう!」だったなあ。それを思い出したとき。 ズーズーしくも、俺はやっぱりエンケンさんと戦う資格があるんだ、って思えた。

エンケンさんは終わって「良い勝負ができたよ、またやろう!」って言ってくれた。ハイコレを続けて行く限り、こんな嬉しい夜がまた何度でもあるのかな。俺も還暦、いや、99歳まで音楽続ける決意を決めた。

PROFILE

ボギー。ダンス仕様のライブ・バンドとして高評価を得ているnontroppoのボーカル&ギター。ニュー・ウェイヴ、レゲエ、ダブ、ジャズ、プログレ、サンバ、トランス・ミュージック等あらゆる音楽的要素を内包したカラフルで不思議なサウンドに、無国籍なダンス・ビートが絡み、聴く者全てを狂喜の「祭」、もしくはありもしない架空のリゾート地へといざなうちょっぴり危険なトロピカル・アヴァン・ダンス・ミュージックを奏でる。

artist page https://ototoy.jp/them/index.php/ARTIST/1829

blog ”ボギーの悪趣味音楽作法” http://www3.to/yokotin/

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