Lym──心に残る生々しい人情と柔らかな囁き

2021/10/29 18:00

MAIL INTERVIEW

Lym / 左から、玉野りんと(Dr)、悠理(Gt)、たかぎれお(Vo&Gt)、ナガヤマタカキ(Ba)

──結成経緯を教えてください。

たかぎれお(Vo&Gt / 以下、たかぎ) : 大学生の時に弾き語りサークルに入っていて、そこではじめてギターの悠理と出会い、はじめは弾き語りユニットでやっていました。そこからバンドにしてもっといろんな表現でやってみようということになりベースのナガヤマタカキ、ドラムの玉野りんとが入って現在の体制になりました。

──アーティストを目指したきっかけを教えてください。

たかぎ : 歌うことが好きだったので中学生のころ、めちゃくちゃカラオケに行ってて高校生で弾き語りをはじめて。その経験から人前で歌うことに楽しさを覚えました。

悠理(Gt) : 高校生のころに宇宙コンビニというバンドに出会い、こんなギターが弾きたいと思ってギターをはじめたのがきっかけです。それから大学時代に、たかぎれおに出会い本格的にバンド活動をはじめました。

ナガヤマタカキ(Ba / 以下、ナガヤマ) : 10年前くらいに発売された、〈野村義男のチャレンジ!ホビーめざせ!ロック・ギタリスト〉という本を見てミュージシャンに憧れました。

玉野りんと(Dr / 以下、玉野) : 小学校でドラムを叩く機会があって、そこから吹奏楽部に入り、なんやかんやずっと続いています。

──なぜ、Lymというバンド名になったのでしょうか?

たかぎ : 結成当初、僕と悠理でアコースティック・ユニットをやっている時に、エンジニアで手伝ってくれているメンバーがもうひとりがいてユニット名をなににするか悩んだ結果、それぞれの頭文字を取ってLymになりました。

──メンバーさんそれぞれ、好きなジャンルや普段聴いている音楽の魅力を教えてください。

たかぎ : 僕はいろんな音楽をかいつまんで聴くので、このアーティストがいちばん好きっていうのはないんですが、大柴広己さんの“さよならミッドナイト”という曲には感銘を受けたのですごく僕の音楽性に影響してると思います。あの生々しさのなかに優しさ、切なさ、愛情などそういうものが感じ取れていまでも好きです。アレは名曲です。

悠理 : 僕は、宇宙コンビニの“光の加減で話した”ですね。少し不思議なリズムと響きなのに、とても聴きやすく体にスッと入ってくるところと、目に見えないなにかを感じることができるのでとても好きです。

ナガヤマ : 歌詞が良いオルタナティヴ・バンドが好きです。最近は、oasisの“Rock 'N' Roll Star”、フィッシュマンズの“感謝(驚)”、Minor threatの“minor threat”、BURGER NUDSの“空気清浄機”を聴いてます。ぜひ聴いてみてください!

玉野 : 邦楽だと星野源さんをよく聴きます。他人に介入しすぎず、寄り添ってくれる温かい歌詞がとても好きです。最近だと、トム・ミッシュの楽曲も聴いていて、ファンクやR＆Bの楽曲は聴いているだけで自然と体が動いてしまうほど好きですね。

──3カ月連続で「ダリア」「二番煎じ」「ランドリー」がリリースされましたがそれぞれ、どのような作品になりましたか? 作品に込めた想いを教えてください。

たかぎ : 「ダリア」はLymが持つ温かさ、切なさというものがしっかり表現できた楽曲です。歌詞になぞらえた楽器隊の旋律で、いろんな意味でこれまでのLymの音楽性を引き継いで良さを出せた楽曲だと思いますね。特にリードギターが曲全体を引き立てているので必聴です!

ダリア(Live Music Video) - Lym

「二番煎じ」は、曲アレンジでメンバーとすごく悩んだのですが、悩んだ分Lymにとって新しい曲構成になってバンドとしてスキルアップを感じました。2サビ後の三拍子に変わる瞬間は聴いていて気持ちいいと思うので必聴ですね。この曲は疾走感がある曲調ですが、歌詞はドス黒くて重いのでそこのギャップも気に入っています。

「ランドリー」は、いままでのLymには無かった爽やかでポジティヴな楽曲ができあがりました。これまで僕らの楽曲は暗かったり悲劇的なことばかり歌ってて爽やかな楽曲もあるんですけど、なかなか前向きな歌詞にたどり着けなかったんです。けど、この曲は伴奏も爽やかで歌詞も甘酸っぱいので新しいですね。若い男女ふたりの恋の歌で、自分で聴いていてこんな恋したいな～とか思ったりしてます(笑)。特に、歌メロがお気に入りでラスサビの盛り上がりの部分は絶対に聴いてほしいですね。

──YouTubeに公開されている新作「ランドリー」のMVの見どころを教えてください。

たかぎ : 見どころは全部と言いたいくらいですが、若い男女ふたりがコインランドリーで出会って恋に落ちるという一連の流れをドラマ仕立てで作られているので、そのストーリーを頭から最後まで観てもらえると嬉しいですね。それと、Lymは屋上の演奏シーンなどあまりなく新鮮だと思うのでそこも見どころです。

ランドリー(Official Music Video) - Lym

──ほぼすべての歌詞において“切ない恋人の一日”を描いたような生活感が伝わってくるのですが、作詞に影響を与えているものは何かありますか?

たかぎ : これは好きな音楽の回答と似通ってしまうのですが。僕がLymの作詞をしていて、いろんな歌詞を聴いてどうしても頭に残ったのが大柴広己さんの“さよならミッドナイト”なんです。あの楽曲のように主観で見える景色、色、温度などの情景が見えるような歌詞が生活に寄り添ってくれる感じがして、そういうところからいまの僕の歌詞があるんだと思います。

──いままで楽曲制作をして、いちばん音作りに苦戦した楽曲と、そのエピソードを教えてください。

悠理 : 「ダリア」のイントロやギターソロは苦戦したというか相当こだわって作りました。暖かさと夢の壮大さを共存させて表現できるように音作りを行いました。

玉野 : 「二番煎じ」の間奏のアレンジは苦労しました。メンバーそれぞれやりたいことをLymの世界観になじませる為のアプローチを引き出すのに時間がかかりました。

──9月19日に行った初ワンマンライヴ〈ROOM〉は、どのようなライヴになりましたか?

悠理 : ある種Lymとして、ひとつのターニング・ポイントになるライヴになった思います。ドラムのりんとくんが加入し、フル・メンバーがそろってからちょうど1年くらいの時期にワンマンを行えて得るものがたくさんあり勉強になりました。いまLymが表現できる全てを出し切れて、ここからさらに新しいものがはじまっていくようなライヴになったと思います。

玉野 : 初のワンマン・ライヴということもあり、とても緊張すると思っていたのですが、実際ステージに出てからは感謝の気持ちが大きかったです。自分たちの楽曲に共感してくれたり、なにか感じてくれている人に直接届けることができた時間はとても特別なものでした。

──1年以内に達成したいバンドの目標を教えてください。

たかぎ : 前回よりも大きいライヴハウスで、もっといろんな表現を見せられるワンマン・ライヴをしたいです。

悠理 : 大きいフェスに出たいです!

ナガヤマ : パワー!