2016/09/08 10:02

10曲目「どきめきライヴ・ラリ」

夏の魔物 / どきめきライブ・ラリ
夏の魔物 / どきめきライブ・ラリ

作詞 : コールドストン・スタナ
作曲 : 大森靖子
編曲 : 浅野尚志
Gt : 越川和磨
Key : ハジメタル

ーーこの曲は、デビュー盤「恋愛至上主義サマーエブリデイ」の両A面です。

成田 : 大森靖子さんが最高に素敵なメロディを書いてくれて、デモの段階でガッツポーズをした記憶がありますね。参加していただいた西さんやハジメタルさんは直属の先輩というかお兄さん的な存在なのですが、作品を作るのは初めてで。メジャーデビューのタイミングで「今しかない!」と思って声を掛けさせて頂きました。

ーーデビュー盤の両A面、夏の魔物の方向性も決まってくる大事な曲ですよね。

成田 : ザ・ブルーハーツの「リンダリンダ」とか、毛皮のマリーズの「ビューティフル」とか、ライヴの後半の大事なところに組み込まれる曲ってあるじゃないですか。生の照明で感動させるドラマティックな曲というか、そういうのを意識して作りました。生の照明でステージに立つというのは、選ばれし者しか出来ないことだと思うので。やっとそこで歌える曲が出来たなと思いました。

ーーデビュー盤から、夏の魔物の代表曲となる曲を作りたかったんですね。

成田 : 過去を振り返ってみると、これまで自分が好きで聴いてきたロックの引き出しをあまり開けていなかったことに気づいて。それは自分がそういうところから遠いという負い目があったから、打ち込みとか新しい表現に挑戦したいと思っていた部分もあったんですけど、やっぱりロックがやりたいなと思って。片面が「恋愛至上主義サマーエブリデイ」みたいな情報過多なわちゃわちゃした曲で、片面がロックというフォーマットもこのシングルから生まれたし。

ーー夏の魔物の両極的な部分を両面共に見せるという。このタイミングでそこに気づいていなかったら、今作のような振り幅のあるアルバムも生まれなかったかも知れない。

成田 : ホントですね。あと、この曲では音楽とかマンガ、映画が与えてくれる思い出を大事にしていて。フェスも「これが誰かの忘れられない思い出になってくれれば良いな」と常に思ってやっているんですけど。この曲にはその想いも詰め込んでいますね。

11曲目「リングの魔物」

作詞 : 只野菜摘
作曲・編曲 : 玉屋2060%(Wienners)
Gt : ROLLY
Ba : TOKIE

成田 : 今回、シングル曲はもちろん「爆裂レボリューション」、「SUNSET HEART ATTACK」、「リングの魔物」、「サマーロマンサー」と、既存曲は必ず入れたいと思ってて。未完成だった曲を現在のメンバーでチャレンジしたいという気持ちがあったんですが、中でもその気持ちが1番強かったのがこの曲でした。「リングの魔物」はバンドを辞めて一人になって、新しいことを初めたいと思って作った一発目の曲で。玉屋(2060%)くんと打ち込みでガッツリ作って、そこにROLLYさんのギターが乗って。布陣は当時と変わっていないんですけど、当時は作り方が分からない中でとにかく音を乗せようと思ってトラックを作って、ちゃんと歌える子が1人もいない中で無理やりレコーディングして。そんな中でアントンさんと大内(雷電)さんの叫びとか、ネタ要素の入った一発目の曲だったりもしたんですが。とにかく何でも録って、後から考えようみたいな乱暴な作り方で作ったんです。

ーー誰もやったことのないことをやろうとしていたわけで、ゼロからイチにする作業っていうのは、物凄い苦労するし、労力もいりますよね。

成田 : そうですね。「あの時、出来なかったことをやりたいんです」って玉屋くんに伝えてもう一度トライすることができて。ラーメン全部のせみたいな作り方だったのを、今回は整理して効果的なトッピングだけをオーダーして、玉屋くんとのキャッチボールもすごく上手く行って、満足出来る仕上がりになりました。

ーー2人が再び出会って、成長を確かめ合いながら制作出来たってところも良いですね。

成田 : あと、TOKIEさんのベースもすごくカッコよくて。僕、らき☆すたの「もってけ! セーラー服」って曲が大好きなんですけど、ああいうベースが入れたいなと思って。長年自分と作品を作っているエンジニアの淺野浩伸さんという「もってけ! セーラー服」のミックスもやってる方に「あんな感じのバキバキのベースにして下さい」ってお願いして。出来た瞬間、「これが作りたかったんだ!」と思えました。既存曲に関しては、前のバージョンと聴き比べてもらいたいです。前までは「よく分からない頭の膨れ上がってる人がなんかやってるな」くらいの感じだったと思うけど。今作は音楽としてちゃんと精査されていると思うんで。プレステからプレステ2になったみたいな、ゲッターロボが真ゲッターロボになったような、そんな感じです(笑)。

12曲目「未来は僕等の風が吹く」

夏の魔物 / 未来は僕等の風が吹く
夏の魔物 / 未来は僕等の風が吹く

作詞・作曲・編曲 : 前山田健一
Ba : 山口寛雄
Gt : 板垣祐介

ーーこの曲はアルバムを象徴する曲かつ、最新型の夏の魔物をを表す曲になりました。

成田 : 今までシングルを3枚出して、「恋愛至上主義サマーエブリデイ」と「どきめきライヴ・ラリ」とか、どれも両A面で両極な部分を見せて、分けて考えてたんですけど。「両面を混ぜてみたらどうだろう?」と思って作ったのが、この曲だったんです。あと単純にヒャダインさんが描くバンドっぽい曲を聴いてみたいなと思って、ベースは山口(寛雄)さん、ギターは板垣(祐介)さんにお願いして。現在のメンバーだったらこういう曲にもチャレンジ出来るし、難しい曲だとしても形に出来るんじゃないか? と思ったんです。俺たち、見た目で色物に見られることも多くて。実際そうだし、全然良いんですけど、音楽に対しても真摯に向き合っているところもピックアップされれば良いなと思って。ヒャダインさんにリクエストしたのが「みんなのエモーショナルな部分が出る曲」、「メンバーそれぞれが闘う姿、俺たちが音楽のフィールドで闘っていく上での想いが込められたバトル曲」ということだったんです。あんまりそういうことを真面目に語ったことは無かったんですけど、アルバムを締める曲としてそういう想いもしっかり歌いたいなと思ったんです。

ーー音楽に対する想いや覚悟も見せたかったし、そこにメンバー1人ひとりの想いも込めたかったと。そこには今、なぜこの6人でやっているのか? という意味も含まれていたり。

成田 : はい。だから出来上がってみて、この6人のテーマソングになったなと思ったし、個人的にはケンドー・チャンが輝く曲にしたいというのがあって。ホントは歌もダンスもすごい出来るのに、他のメンバーに遠慮する部分があるので。彼女が輝くように歌や構成も考えました。あと、途中に入ってる〈WOWWOW〉の掛け声と共に入っているバイオリンは、WWEを観に行った時に中邑真輔選手の入場がすごくカッコ良くて。完全に中邑真輔選手の入場曲の影響です(笑)。「スーパーロボット大戦」のJAMプロジェクトの曲みたいな拳突き上げる熱い感じとか、俺たちにありそうでなかったので。

ーーヒャダインさんの作る“バンド感”はどうでした?

成田 : イントロのギターとかサビのアルペジオは、「ロマンシング サ・ガ」の音楽をやっているイトケン(伊藤賢治)さんのようなバトル曲感というか、ヒャダインさんにリクエストしたことが倍になって返ってきたのが、すごく嬉しかったです。

13曲目「サマーロマンサー」

作詞 : 藤林聖子
作曲 : 成田大致・鈴木秋則
編曲 : ARM(IOSYS)
Gt : nikka

成田 : 真島昌利さんの『RAW LIFE』ってアルバムがあって。それは1曲目が「RAW LIFE」で、最後が「RAW LIFE(Reprise)」って1曲目と同じ曲が入ってるんです。あと大好きな押井守監督の映画『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』は、ループした世界観で“終わらない学園祭”がテーマになっていたり。基本的に俺、タイムスリップ物とか、そういうのに弱くて(笑)。1曲目の「恋愛至上主義サマーエブリデイ」というのが、この曲を元にして作った曲だったので。俺の好きな世界観がループする感じをアルバムで表現出来ないかな? と思ったんです。

ーー普通に考えたら「未来は僕等の風が吹く」で終わり、希望あるエンディングがいい気もするけど。そのループ感が効果的に活きるように、あえてこの曲順にしたかった?

成田 : はい。しかも「サマーロマンサー」というのは、自分の表現の全ての始まりの曲だと思っていて。当時、やりたいけどやれなかったこともあったし、色んな表現を経てまたこの曲に挑戦出来たことに意味があると思っているんです。当時はバンドサウンドにこだわっていて、ONE OK ROCKやUNISON SQUARE GARDENみたいなバンドに対抗出来るサウンドにしたいなと思っていて。今回、当時は出来なかったアレンジが出来ているし、アルバム全体でドタバタラブコメがずっと続いてることを表現したいと思って、この曲を最後にしました。作った当時はヒャダインさんとか、清 竜人さんとかに立ち向かって行きたいなと本気で思っていて、その原点になったのがこの曲でした。

29年間生きてきたことが全部詰まったアルバムになった

ーーということで、全曲紹介してもらいましたが。俺が話を聞きながら思ったのは、この言葉が正しいのか分からないけど、成田くんは自分が今までやってきたこと、やれずにもどかしかったことをひとつずつ“精算”していたんだと思いました。

成田 : なるほど。これはヒロトさんが言ってたことなんですけど、1stアルバムってその人の人生のすべてが出る物だと思うんです。でも、俺はバンド時代にも1stアルバムを作ったけど、人生が出てなかったんですよね。それが『夏の魔物』の1stアルバムには、自分が経験してきた辛いこと悲しいこと、フェスもそうですし、東京に出てきて思ったこともそうですし、自分がずっと好きだったものもそう。そういった29年の人生が出せたと思うし、自分が歌詞を書いていないのに、そこを作家さんたちが汲んで自分の思ってることにものすごい近いことを書いて下さっていると思って。それがすごく嬉しいし、奇跡だと思っています。

ーーそこは最初に話したように、夏の魔物はここに至るまでの過程も見せ続けてきた特殊なユニットだから、そこで理解してくれている部分もあるだろうし。一見繋がらなそうなあの人とあの人が繋がったり、とっ散らかった物にならないのは、総合監督である成田くんが自分の好きに正直で、そこに何かしらの共通項があるからこそだと思います。

成田 : そうですね。自分の好きな物や表現したいこと、伝えたいことも全部出せたアルバムになりました。俺は青春のきらめきみたいな物にずっと憧れていたし、バンド時代からそれが作れていると思っていたんですけど、やっぱり作れていなかったんですよね。でも、この13曲を聴いて、今やってることを見てもらえば、きっと意味が分かってもらえるというか。そこにいるのは等身大の俺だし、このアルバムには29年間生きてきたことが全部詰まっていて。夏の魔物というオリジナルが作れたというのは、初めて思いました。

ーー今まで歩んできた道筋を振り返って、やり残したことや忘れ物を回収して、精算して。

成田 : 今まで立ててきたフラグを全部回収しました(笑)。なので作り終わった瞬間、メンバーでムービーを録ったりしてたんですけど。俺は達成感よりも「セカンド・アルバムを作りたい」と言っているんです。今回、新規曲が3曲しか無いんですが、次のフェーズも見せられたと思っていて。やりたいことはまだまだあるし、まだまだ実現出来ていないことが山ほどあって。リオオリンピックの閉会式にキャプテン翼、ドラえもん、マリオ、パックマンとか出てきたじゃないですか。あれを観て、自分たちもあそこにいきたいなって思って最近、取材では「4年後の東京オリンピックで開会式や閉会式に関われるようになりたい」とよく言ってるんですけど。自分がそんな器なのかは、まだ分からないですが(笑)、そういう中田ヤスタカさんや椎名林檎さんに追いつけるような作品を作っていきたいですね。

ーーとりあえず日本らしく、花魁姿のダンサーを入れたり、アントンさんにマワシを締めてもらいますか(笑)。フェスの夏の魔物が10周年となる今年、記念すべきメジャー1stアルバムが完成。夏の魔物ホストユニットとしては、フェスにも連動していかなくてはいけません。

成田 : やっぱり10周年なので特別なことをやりたいというのと。9月16日に10周年記念を東京・恵比寿リキッドルームでやるので、夏の魔物に来たことのない人にも、その空気感をそのまま感じてもらえるようなイベントにしたいなと思ってます。イベントではウエノさん、西さん、ハジメタルさんに元くるりの森信行さんを加えた“魔物BAND”というバンドスタイルで初めてライヴもやります。俺のやりたいことが一発で分かる日になると思うし、アルバムをキッカケに夏の魔物の全てを理解してもらえると思ってるので。アルバムを聴いて、ぜひリキッドや青森に足を運んでいただいて。夏の魔物にしかない空気を味わって欲しいと思っています。

夏の魔物の過去作もチェック

夏の魔物 / 魔物、BOM-BA-YE 〜魂ノ覚醒編〜 / バイバイトレイン

「夏の魔物」のメジャー3rdシングル『魔物、BOM-BA-YE ~魂ノ覚醒編~』。今作の作曲は、当フェスの主催者・ヴォーカリストである成田大致が長年楽曲制作を望んでいた、ヒャダインこと前山田健一。作詞は、これまで当グループの楽曲の多くを手掛けてきた只野菜摘が「コールドストン・スタナ」名義で参加している。

>>>特集第1弾 成田大致、ケンドー・チャン、玉屋2060%座談会はこちら

>>>特集第2弾 柴那典が迫る成田大致の「人間サンプリング・アート」はこちら

夏の魔物 / 東京妄想フォーエバーヤング/ダーリン no cry!!!

夏の魔物によるのメジャー第2弾シングル。「東京妄想フォーエバーヤング」(作詞 : 山内マリコ、作曲 : 曽我部恵一、編曲 : ARM(IOSYS)、ゲスト・ヴォーカル : BIKKE(TOKYO No.1 SOUL SET))との両A面曲となる「ダーリン no cry!!!」は、作詞・作曲ともにSundayカミデ(ワンダフルボーイズ / 天才バンド)が書き下ろした壮大なロッカバラード。

夏の魔物 / 恋愛至上主義サマーエブリデイ/どきめきライブ・ラリ(イラストジャケット Ver)(24bit/48kHz)

夏の魔物によるのメジャー・デビュー・シングル。「恋愛至上主義サマーエブリデイ」(作詞 : 後藤まりこ、作曲 : 成田大致・ARM(IOSYS)、編曲 : ARM(IOSYS)、ギター : HISASHI(GLAY))は名曲「サマーロマンサー」をリビルド。両A面曲となる「どきめきライブ・ラリ」は、大森靖子が書き下ろし、越川和磨、ハジメタルが参加。

LIVE SCHEDULE

緊急特別企画『夏の魔物の夏の魔物』〜1stアルバムほぼ全曲やりますツーマン〜

2016年9月10日(土)@渋谷チェルシーホテル
時間 : 開場 17:00 開演 17:30
出演 : 夏の魔物、クロユリfrom夏の魔物(※アントーニオ本多は欠席)
料金 : 2,000円(+1drink)
・チケットぴあ(Pコード : 309126)
・ローソンチケット(Lコード : 75192)
・イープラス
夏の魔物ファーストアルバム発売記念「夏の魔物現象2016」10th ANNIVERSARY BOM-BA-YE

2016年9月16日(金)@恵比寿リキッドルーム
時間 : 開場 16:30 開演 17:30
出演 : 人間椅子、大森靖子、生ハムと焼うどん、ベッド・イン、吉田豪、夏の魔物+魔物BAND(ウエノコウジ・森信行・越川和磨・ハジメタル)、クロユリfrom夏の魔物
スペシャル・ゲスト : 大槻ケンヂ、and more…!!
料金 :
・10.1夏の魔物FESチケット付き:12,000円(9/16当日にFESチケット引き換え)
・10.1夏の魔物FESチケット購入済み割引 : 4,000円(9/16入場時にFESチケット購入チェック有)
・通常前売り : 5,000円(+1drink)
※各種「チケットぴあ」にて7/16 10:00〜販売開始! http://w.pia.jp/t/nnm/
AOMORI ROCK FESTIVAL’16 〜夏の魔物〜 10周年記念大会

2016年10月01日(土)@青森県東津軽郡平内町夜越山スキー場
時間 : 開場 6:30 / 開演 7:00(予定)

出演者第2弾 :
夏の魔物 with ヒャダイン、人間椅子、BELLRING少女ハート、藤井隆、清 竜人25、POLYSICS、曽我部恵一、ROLLY、アーバンギャルド、SCOOBIE DO、THE NEATBEATS、バンドTOMOVSKY、HINTO、ザ・チャレンジ、ゆるめるモ!、生ハムと焼うどん、DJ やついいちろう、クリトリック・リス、吉田豪、杉作J太郎、久保ミツロウ・能町みね子、and more...

チケット :
・先行早割券 7,500円
※先行早割購入特典 : 当日会場にて記念グッズプレゼント!
【先行早割券受付URL】http://w.pia.jp/t/nnm-p/
※受付期間 : 6月1日(水)23:59まで
・一般発売 : 8,000円
・4人セット券 : 29,000円
※一般発売&4人セット券は、6月25日(土)より〜販売開始予定
・中高生 : 3,000円(当日券のみ)
・当日券 : 9,000円
※入場時ドリンク代別途 500円

PROFILE

夏の魔物

青森で毎年開催されているロック・フェス〈夏の魔物〉の公式ユニットとして主催者の成田大致を中心に結成。 《ロック》、《アイドル》、《プロレス》などあらゆるエンタメ要素をクロスオーバーさせたライヴを行う。2015年8月、ポニーキャニオンよりシングル『恋愛至上主義サマーエブリデイ / どきめきライブ・ラリ』をリリースしメジャー・デビュー。2016年1月に発売したセカンド・シングル『東京妄想フォーエバーヤング / ダーリン no cry!!!』はフジテレビ系「めちゃ×2イケてるッ!」の主題歌として抜擢され、オリコン週間チャート25位を記録した。2016年6月には前山田健一作曲による『魔物、BOM-BA-YE〜魂ノ覚醒編〜』をリリースする。

official website

[インタヴュー] 夏の魔物

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