2016/09/08 10:02

5曲目「SUNSET HEART ATTACK」

夏の魔物 / SUNSET HEART ATTACK
夏の魔物 / SUNSET HEART ATTACK

作詞 : アントーニオ本多
作曲 : 大隅知宇
編曲 : tatsuo
Ba : IKUO

成田 : これも2012年くらいに作った曲なんですけど。曲を大隅知宇さんという作曲家さんにお願いして、歌詞をアントン(アントーニオ本多)さんに書いていただいて、ずっと大事にしていた曲だったんです。バンドをやってた頃はソング・ライティングを自分たちでやるのは当たり前だったんで、自分が伝えたいことや表現したいことを、誰かに書いてもらうというのは初めてだったんですが。アントンさんってすごいロックでポエジーな一面を持ってて、プロレスラーの中でも一番ロックアティテュードのある人だと思っているので、ぜひ歌詞を書いて欲しくて。

ーーもちろん、作詞なんて初めてですよね?

成田 : そうですね。当時、アントンさんと男色ディーノとDDTのベルトをかけたタイトルマッチがあったんですけど、物凄く感動しちゃって。試合前にマイクで叫んだことやインタヴューで語ってた、アントンさんとディーノさんの友情物語も凄い素敵だったし、試合もエモーショナルの塊みたいなロックのライヴに近い感覚があって。それをそのまま歌で伝えたいと思って歌詞を書いてもらったら、やっぱりすごく良い歌詞が出てきて。

ーー「あの日の試合のような、あのマイクのような歌詞を書いて下さい」と。

成田 : はい。で、俺はそれまで歌に対して向き合うという作業を都度都度、おろそかにしてきたんですけど。大隅さんの曲とアントンさんの歌詞でものすごい最高な曲が出来て、歌を歌いたいという一番大事な部分が欠けてたことに気づいて、うつみようこさんがやっているボイトレに通うようになって。アントンさんの歌詞をちゃんと歌いたいという気持ちが、ヴォーカリストとしての自我を目覚めさせてくれたんです。

ーーそれもひとつの覚醒ですね。歌いたい気持ちが自分を成長させてくれた。

成田 : だからこの曲がなかったら、夏の魔物をやってなかった気がするんですよね。アントンさんに作詞をしてもらって、スタジオで「どう歌ったら良いですか?」「ここはもっとFUCKだ!」みたいにやりとりしたことも自分の中ですごく大きくて。俺が本来バンドでやりたかったことにも近い気がしたんです。アントンさんとは感覚で分かり合えるところがあったし、あの時は声優の小林ゆうさんとKING BROTHERSのマーヤさんに参加していただいたんですけど。2人にも試合のDVDを見てもらって、「これがやりたいんです!」って説明して。あの頃やっていたことが映画でいうラッシュの状態で、今やっと完成版が作れたんだと思っていて。想いだけで作っていた物が、こうしてベストな形で録れたのがすごく嬉しいです。

6曲目「世界は愛と夢で出来ている」

作詞 : 及川眠子
作曲 : 田中公平
編曲 : tatsuo
Ba : IKUO

ーーとんでもなく壮大で神々しささえ感じる、すごい曲が出来ましたね。

成田 : ライヴでは表現し切れない、アルバムだからこその曲ですね。この曲は作った時から自分で考えているコンセプトみたいなものがあって。サウンドノベルとかエロゲとか、自分で選択して物語を作っていくゲームがあるじゃないですか? ああいうのと一緒で、グッドエンドとバッドエンドの両方がある物を作りたいと思っていて。バッドエンドの曲はすでに別ユニットで作っていて、グッドエンドの曲も作ることも決めていたんですけど。どのタイミングで作ろうか? と思った時、やっぱり1stアルバムしかないと思って作りました。アルバムのテーマが“新世紀”なので、及川眠子先生に作詞をお願いして書いていただきました。

ーー歌詞を発注する時は、どんな注文をしたんですか?

成田 : 母的な存在と14歳の少年、そこに同級生の女子の3人が登場してくる物語にしたいとオーダーしたら、ものすごい歌詞が生まれてきたんです。俺、エルフというエロゲのメーカーがすごく好きで、「この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO」というゲームがあるんですけど、そんな感じのタイトルにしたいと言って、そこも汲んでいただいて。

ーーそれがエロゲであることは言ったんですか?

成田 : 言ってないです(笑)。編曲はゴールデンボンバーとかBABY METALを手がけているtatsuoさんにお願いして、ベースはIKUOさんに弾いていただきました。アルバムって、ライヴでは聴けない曲も入っていたりするので、あえてそういう曲に挑戦したいという気持ちもあって。あと、舞ちゃんのハイトーンの限界を目指したくて。舞ちゃんの限界突破じゃないですけど、舞ちゃんの良さが出る曲というのを1番意識しました。曲的には最高難易度で、歌録りもすごく大変で。生みの苦しみを初めて味わったし、生で再現するのは絶対不可能です(笑)!

7曲目「東京妄想フォーエバーヤング」

夏の魔物 / 東京妄想フォーエバーヤング
夏の魔物 / 東京妄想フォーエバーヤング

作詞 : 山内マリコ
作曲 : 曽我部恵一
RAP作詞・歌唱 : BIKKE(TOKYO No.1 SOUL SET)
編曲 : ARM(IOSYS)

成田 : この曲は“東京”をテーマに、曽我部(恵一)さんに書いていただいて。地方の人が思う東京だったり、東京に住んでたけど地元に戻らなくてはいけなくなった人の思い出す東京だったり、東京に憧れていたあの頃の自分とか、いろんな人の思う東京を音楽にしたくて。それって、山内マリコ先生の「ここは退屈迎えに来て」の世界観そのままだったりするんで、「そういう曲が歌いたいです」と山内先生にお願いして、歌詞を書いてもらいました。編曲をARMさん、ラップをBIKKEさんにやっていただいて。青森にいる頃に思い描いていた東京と上京してからリアルに見た東京のどちらもが表現出来たと思います。

ーー成田くんは以前、「自分が総監督になったつもりで、キャスティングを決めて楽曲を作っている」と話していましたが。この曲は自分が描きたい“東京”の画が明確に見えていたからか、配役の妙もバッチリでした。

成田 : デモの段階から、起承転結もしっかり出来ていて。リテイクした部分もこの曲はすごく多くて、すごく時間をかけて。ヒット音が0.1秒ズレてるとか、ちょっとしたことなんですけど。手塚先生ばりにこだわったり、初のタイアップ(めちゃ×2イケてるッ! エンディングテーマ)が決まったりと思い入れが強い曲です。

8曲目「バイバイトレイン」

夏の魔物 / バイバイトレイン
夏の魔物 / バイバイトレイン

作詞 : 大槻ケンヂ
作曲 : YO-KING
Gt : 越川和磨
Ba : ウエノコウジ
Dr : クハラカズユキ
Key : ハジメタル

成田 : THE WAYBARKをやっていた頃、「ロックは大好きだけど、器じゃないな」という気持ちがあったんですけど。今、この最高のメンバーでそういうことをやったら、すごくいい曲が出来るんじゃないかな? と思って。俺の核にある“ロック”というものを、今やったらどうなるか? みたいなことを形にしたのがこの曲です。

ーー大槻ケンヂさん作詞、YO-KINGさん作曲。ロックファンにしたら贅沢すぎる、バカが考えた理想のバンドみたいなのが実現しちゃってます。

成田 : ホント、奇跡みたいなもんですよ! オーケンさんとYO-KINGさんが曲を作っているだけでも贅沢なのに、西さん(越川和磨)、そしてウエノ(コウジ)さん、クハラ(カズユキ)さんというミッシェル・ガン・エレファントのリズム隊、さらにハジメタルさんですからね。やっぱりフェスも含めて、長く続けていてよかったなと思った瞬間で。こんなことが実現すると思わないじゃないですか? やっぱり続けていたことがここに来て意味が生まれて。

ーー2006年7月に行った初めての『夏の魔物』にはRadio Caroline、M.J.Qに出演してもらっていて。あれから10年、まさか一緒に楽曲を作る日が来るとは思わなかったでしょう?

成田 : 本当ですよ。でも、ウエノさんもクハラさんも「大致、今こういうのやってんのか」って、あの時の19歳の俺と接し方が変わらないのがすごく嬉しくて。俺にしたら高校時代、修学旅行の積み立てをやめてミッシェル・ガン・エレファントの解散コンサートに行ったくらい、自分の人生を大きく狂わせてくれた人たちですからね。夢のような話ですよ!

9曲目「ダーリン no cry!!!」

夏の魔物 / ダーリン no cry!!!
夏の魔物 / ダーリン no cry!!!

作詞・作曲 : Sundayカミデ
Gt : 越川和磨
Ba : フミ
Dr : BOBO
Key : ハジメタル

成田 : こういうバラードって、バンドでしか表現出来ないと思って。まずはSunday(カミデ)さんと一緒にスタジオに入って、ピアノを弾いてもらいながら曲を作って、バンマス的な役目も果たしてくれたハジメタルさんに編曲してもらって、フミ(POLYSICS)さんとBOBOさんという大好きなお二人に参加していただきました。この曲が夏の魔物の体制になって、初のバンド・サウンドだったんです。

ーーでは夏の魔物として、またひとつ引き出しが増えた感もあって。

成田 : そうですね。バンドの素晴らしさ、バンドで「せーの」で録ることの良さとか、改めて感じたのがこの曲で。結局、採用されたのは歌も含めて「せーの」で録ったテイクだったので。長らくそういう録り方をしていなかったから、自分でもビックリしたし。出来上がってみると、歌の乗りも全然違うんですよね。俺たちは「TOKYO IDOL FES.」にも出れて、「フジロック・フェスティバル」にも出れるユニットになっていきたいと思っていて。

ーーわはは、欲張りすぎですよ(笑)。

成田 : こういうバラードはあえて避けてきた道でもあるんですが、やっぱりトータス(松本)さんや(忌野)清志郎さんへの憧れがあって、「いつかは自分も」と思っていたので。その理想郷にも一歩近づけた曲になったと思います。

>>>【3/3】10曲目「どきめきライヴ・ラリ」の曲解説に続く

LIVE SCHEDULE

緊急特別企画『夏の魔物の夏の魔物』〜1stアルバムほぼ全曲やりますツーマン〜

2016年9月10日(土)@渋谷チェルシーホテル
時間 : 開場 17:00 開演 17:30
出演 : 夏の魔物、クロユリfrom夏の魔物(※アントーニオ本多は欠席)
料金 : 2,000円(+1drink)
・チケットぴあ(Pコード : 309126)
・ローソンチケット(Lコード : 75192)
・イープラス
夏の魔物ファーストアルバム発売記念「夏の魔物現象2016」10th ANNIVERSARY BOM-BA-YE

2016年9月16日(金)@恵比寿リキッドルーム
時間 : 開場 16:30 開演 17:30
出演 : 人間椅子、大森靖子、生ハムと焼うどん、ベッド・イン、吉田豪、夏の魔物+魔物BAND(ウエノコウジ・森信行・越川和磨・ハジメタル)、クロユリfrom夏の魔物
スペシャル・ゲスト : 大槻ケンヂ、and more…!!
料金 :
・10.1夏の魔物FESチケット付き:12,000円(9/16当日にFESチケット引き換え)
・10.1夏の魔物FESチケット購入済み割引 : 4,000円(9/16入場時にFESチケット購入チェック有)
・通常前売り : 5,000円(+1drink)
※各種「チケットぴあ」にて7/16 10:00〜販売開始! http://w.pia.jp/t/nnm/
AOMORI ROCK FESTIVAL’16 〜夏の魔物〜 10周年記念大会

2016年10月01日(土)@青森県東津軽郡平内町夜越山スキー場
時間 : 開場 6:30 / 開演 7:00(予定)

出演者第2弾 :
夏の魔物 with ヒャダイン、人間椅子、BELLRING少女ハート、藤井隆、清 竜人25、POLYSICS、曽我部恵一、ROLLY、アーバンギャルド、SCOOBIE DO、THE NEATBEATS、バンドTOMOVSKY、HINTO、ザ・チャレンジ、ゆるめるモ!、生ハムと焼うどん、DJ やついいちろう、クリトリック・リス、吉田豪、杉作J太郎、久保ミツロウ・能町みね子、and more...

チケット :
・先行早割券 7,500円
※先行早割購入特典 : 当日会場にて記念グッズプレゼント!
【先行早割券受付URL】http://w.pia.jp/t/nnm-p/
※受付期間 : 6月1日(水)23:59まで
・一般発売 : 8,000円
・4人セット券 : 29,000円
※一般発売&4人セット券は、6月25日(土)より〜販売開始予定
・中高生 : 3,000円(当日券のみ)
・当日券 : 9,000円
※入場時ドリンク代別途 500円

PROFILE

夏の魔物

青森で毎年開催されているロック・フェス〈夏の魔物〉の公式ユニットとして主催者の成田大致を中心に結成。 《ロック》、《アイドル》、《プロレス》などあらゆるエンタメ要素をクロスオーバーさせたライヴを行う。2015年8月、ポニーキャニオンよりシングル『恋愛至上主義サマーエブリデイ / どきめきライブ・ラリ』をリリースしメジャー・デビュー。2016年1月に発売したセカンド・シングル『東京妄想フォーエバーヤング / ダーリン no cry!!!』はフジテレビ系「めちゃ×2イケてるッ!」の主題歌として抜擢され、オリコン週間チャート25位を記録した。2016年6月には前山田健一作曲による『魔物、BOM-BA-YE〜魂ノ覚醒編〜』をリリースする。

official website

[インタヴュー] 夏の魔物

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