
OTOTOY POWER PUSH!
NO AGE『Everything in Between』
OTOTOY編集部が今イチオシのアーティストを紹介するOTOTOY POWER PUSH。今回は、D.I.Y.精神を貫きながら、音楽のみならず、ヴィジュアル・アート、パフォーマンス・アートや映像の領域にまで影響を及ぼしてきたロサンゼルスのノイズ・ポップ・デュオ、NO AGEのサード・アルバムをご紹介。
大都会の「今」
2008年に発表されたセカンド・アルバム『Nouns』で大ブレイクを果たし、USインディ最重要ユニットの一つとなったNO AGE。西海岸ロサンゼルスのアート・スペースTHE SMELLを拠点に、D.I.Y.精神に貫かれた活動を繰り広げる彼らから届けられた2年ぶりの新作『Everything In Between』。剥き出しのドラミングと、パンキッシュで尖りまくったギター・ノイズの軋み、絶妙な隙間を作り出す空間処理とロー・ファイな実験精神。そして、疾走感に満ちた素晴らしいソング・ライティング。パンクやハードコア、NO WAVEといったキーワードがノイズから溢れ出てくる、これぞ、NO AGEという音像。まるで、大都会の「今」をノイズで描き出したような、眩くも尖った楽曲群。これは、巷に溢れる海やサーフィンへの逃避行のポップ・ソングではない。実験精神も軋みあげるノイズも、全てがオルタナティヴなポップ・ソングに昇華されたこのアルバムは、大都会のど真ん中で鳴らされるからこそ意味がある。試しに「FEVER DREAMING」を聴いてみるといい。一瞬で、生ぬるい夢から叩き起こしてくれるよ。これぞ、時代の音。今、これを聴かずに何を聴くんだ。(text by 佐々木健治)
RECOMMEND
Woods / At Echo Lake
Woodsistのオーナーで、Meneguarのメンバーでもあり、Not Not Funから画集もリリースしている才人、Jeremy Earlと、Christian Deroeckを中心としたNYのローファイ・インディ・フォーク・ロック/ポップ・バンド。現在は主に4人で活動している。4作目である前作『Songs Of Shame』はPITCHFORKで8.3点を獲得し、年間チャート50位に輝いた。リリースごとに知名度、人気を伸ばし、現在はローファイ・ムーヴメントの中心的バンドとしてシーンを牽引している。
Real Estate / Real Estate
ニュージャージーはガーデン・ステート出身の4人組。ヴォーカル/ギターのMartin Courtneyを中心に、Ducktails, Predator Vision, The Parasailsとしても活動している才人ギタリスト、Matthew Mondanile、そして同じくPredator Visionでも活動しているAlex Bleekerがベース、Etienne Duguayがドラムを務めている。かつてはWEEZERのファーストのコピー・バンドをしていたいうユニークなエピソードを持つ。11月には、WOODSとのジョイント・来日ツアーの開催が決定している。
PROFILE
ロサンゼルスのインディー・ロックの聖地として現代版CBGBとも言えるユース・アート・スペース、ザ・スメル(The Smell)。その運営に関わるオピニオン・リーダー的バンドが、ディーン・スパント(ドラムス&ヴォーカル)とランディー・ランドール(ギター)によるノー・エイジである。英ファット・キャット・レコーズからリリースされ好評を博したシングル・コンピレーション『Weirdo Rippers』に続くデビュー・アルバムである『Nouns』をサブ・ポップから2008年春に発表。米ピッチフォークでは9.2と破格の評価を獲得、同サイトの年間アルバム・チャート3位にも選出された。更にSPIN、ROLLING STONE、NMEなど有名主要メディアでも軒並み高評価を得て、2008年の “ロックの新しい音” を代表する1枚となった。レディオヘッドのメンバーやコーネリアスがノー・エイジのTシャツを着用するなど、話題に事欠かない。