今夏の決定盤が誕生！
元MUTEBEATのメンバーとして、様々なアーティストのDUBエンジニアとしての活動はもちろん、DJ、リミキサーとしても大活躍なオリジネイター、DUB MASTER Xが全曲を絶妙にMIXした、いままでにない画期的なMIXアルバムが登場! 曽我部恵一、渡辺俊美(TOKYO No.1 SOULSET)、ハナレグミ、高本和英(COME BACK MY DAUGHTERS)、カジヒデキ、奇妙礼太郎ら日本のロック・シーンを代表するシンガーから、伊藤ふみお(EX KEMURI)、Likkle Mai、HAKASE-SUN(LITTLETEMPO,FISHMANS)、こだま和文ら、日本のスカ、レゲエ・シーンを代表するアーティスト達のカバーを中心にオリジナル曲までボリューム満載で収録。
V.A. / DANCING MOODS
1. BETH feat. 渡辺俊美(TOKYO No.1 SOUL SET/ ZOOT16) / Lovers Rock Nite Crew
2. WE ARE ALL ALONE feat. 武田カオリ(TICA) / Lovers Rock Nite Crew
3. Self Dub / KENJI, GOTA & NEGI
4. For Whom the Music / Dub Master X
5. Rock The Casbah feat.武田カオリ(TICA)/ 冷牟田竜之(DAD MOM GOD) / THE SWING EASY ORCHESTRA
6. BRIGHT FUTURE DUB / Ras Takashi
7. It takes two / MATSUNAGOTA RHYTHM SECTION
8. AFTER THE RAIN 2008 VIP DUB / Dr.Echo-logic
9. New Town feat. Likkle Mai / THE SWING EASY ORCHESTRA
10. This Charming Man feat.高本和英(COMEBACK MY DAUGHTERS) / THE SWING EASY ORCHESTRA
11. Hold Me Now feat. 伊藤ふみお / THE SWING EASY ORCHESTRA
12. DECEMBER / icchie
13. Come to Milton Keynes feat.山下洋 / THE SWING EASY ORCHESTRA
14. God Save The Queen feat.仲野茂 / THE SWING EASY ORCHESTRA
15. WILD HORSES feat. 花田裕之 / Lovers Rock Nite Crew
16. Boys Don't Cry feat. カジヒデキ/CHABE / THE SWING EASY ORCHESTRA
17. Long Hot Summer / 島崎ひとみ
18. Traveling Dub (「旅愁」) / HAKASE-SUN
19. Ghost Town feat.HAKASE-SUN / THE SWING EASY ORCHESTRA
20. What I Like Most About You Is Your Girlfriend / STRUTTIN UNLIMITED
21. LA VIE EN ROSE (NT Lovers Dub Mix) feat. Kazufumi Kodama / CHIEKO KINBARA
22. MUSIC AND ME / Lovers Rock Nite Crew
23. Distant thunder dub / 外池満広
24. サン・トワ・マミー / 奇妙礼太郎
25. King feat.Toshio Nakanishi aka TYCOON TO$H / THE SWING EASY ORCHESTRA
26. HELPLESS feat. 曽我部恵一 / Lovers Rock Nite Crew
販売形式 : mp3 / wav(共に1500円)
※本作はMIX音源のため、アルバムでの購入をお勧めします。
情緒入り混じるムード・ミュージック
DUB MASTER Xによるミックス・アルバム『DANCING MOODS -SKA,REGGAE,PARTY-』を、燦々と輝く太陽の下で馬鹿でかい音で聴いて陽気に踊るのも、最高に良い。ミックス前半で、TICAの武田カオリ、DAD MOM GODの冷牟田竜之が参加したThe Clashのカヴァー「Rock The Casbah」が鳴った瞬間、誰もが思わず腰が揺さぶられるに違いない。しかし私は、蒸し蒸しと寝苦しいこの真夏の熱帯夜にヘッドホンでじっくり耳を傾けることで、本作に隠された別の面白さを感じたのだ。それは、全てが日本人アーティストによって演奏された、ということである。
想像してみてほしい。遠い異国・ジャマイカで生まれたスカ/レゲエという音楽を、ここ日本で自ら楽器を用いて演奏することを。そこにはスカやレゲエを愛することによって生まれる快楽と、同時に隠しきることのできない違和感があるのではないだろうか。そしてそれらが混在していることこそが肝要であるように思える。本作に収録されている楽曲には、全方位に陽が射しているように感じられつつも、その陽光には小さい隙間があり、その隙間からはどこかのんびりと和みを感じさせる日本的情緒が滲み出ているように感じられるのだ。その情緒はノン・ストップで繋がれることによってじわじわと際立っていく。ミックス終盤の奇妙礼太郎による越路吹雪の「サン・トワ・マミー」の妖艶なカヴァーもその一端に過ぎず、全編で仄かに見え隠れする日本的な風景は、この真夏の熱帯夜に聴くことで、より一層立体感を増すだろう。
そして、エンディングを飾る、曽我部恵一がしっとりと力強く歌う、Crosby,Stills,Nash & Youngのカヴァー「Helpless」を聴き終える頃に感じるのは、本作に収録されている全てのアーティストは、レゲエを愛することの快楽とそれに伴う居心地の悪さのない混ぜをはっきりと自覚した上で、レゲエを演奏するというアンビヴァレントな想いを持っているということである。その想いはDUB MASTER Xによる見事なダブ・ミックスによって昇華され、熱帯夜ムード・ミュージックへと変貌を遂げるたのであろうと私は夢想する。そんなムード・ミュージック集をこのじっとりと暑い夏の真夜中に味わってみてはいかがだろうか。（text by 坂本哲哉）
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