2011/08/23 00:00


Biffy Clyro / Revolutions//Live At Wembley

メタリカ、アンスラックス、スレイヤーやスリップノット等と並び、音楽フェスのメイン・ステージのトリに大抜擢される程の人気を誇るビッフィ・クライロが、キャリア初となるライヴ音源をリリース! 圧倒的なパフォーマンスでモンスター・バンドへと進化を続ける彼らの超絶ライヴを追体験せよ!

「動」と「静」の感情

グラスゴーと言えば、あなたはどんな音楽を思い浮かべるだろうか。ダンサンブルなロックでお馴染みFranz Ferdinand、ネオアコ・ムーブメントの基盤を固めたOrange Juice、ポスト・ロックの名手Mogwai…。様々なインディー・シーンの産地というだけあり、今や数多の音楽ファンを惹きつけてやまない場所がグラスゴーだ。そんな街から生まれたロック・バンド、Biffy Clyroがこの度初のライヴ音源をリリースする。

サイモン・ニール(Vo/G)、ジェームズ(B/Vo)とベン(Dr/Vo)の双子のジョンストン兄弟で結成されたバンド、Biffy Clyro。2002年にデビュー・アルバム『Blackened Sky』を発表して以来、The WHO、THE ROLLING STONESやRED HOT CHILI PEPPERSといった数々のビッグ・バンドの前座を務め、着々とファンを増やし続ける。4th、5thアルバムは共に全英チャートの上位を獲得し、今や人気・実力ともに不動の地位を獲得したバンドだ。2010年には日本でも単独公演やサマー・ソニックへの出演を果たしており、その荒々しくも情感溢れるライヴ・パフォーマンスを目撃した人も多いのではないか。

今回届けられた作品は、2010年12月4日にロンドンのウェンブリ・アリーナで行われたライヴを録音したものだ。2009年に発表した5thアルバム『Only Revolutions』に収録されている曲が網羅されている。「ダン、ダン、ダン、ダン… 」と一打一打が身体に沈み込む拍子の後、「Hoooooo!!」というサイモンの雄叫びで1曲目「The Captain」からバンド、観客共にテンションは絶頂に。超満員だったこともあり、熱気と興奮が音源という二次的なものであっても充分に伝わってくる。その臨場感の要因は、バンド・サウンドが人間味を感じさせ、我々にエモーショナルな感情を引き起こさせる点にある。サイモンの、過剰な装飾を全て取り払い純粋なエネルギーに満ちた声。それと共に思うがままに鳴らされるギター・リフ、唸りあるベースとアグレッシヴなドラムのリズム・フレーズが、聴く者に「生」の感情を与える。彼らのライヴは変わり映えのない日常を打開してくれるのだ。例えば14曲目「Machines」に表象されているような、美しいメロディー・ラインとサイモンと観客の歌の掛け合い。勢いある曲でグングンと進んでいくのかと思いきや、メロディアスな曲を絡めることで人間の心の「動」の部分だけではなく、「静」の部分をも突き動かす。バンドと観客の紐帯はより強まり、圧倒的な安心感が会場全体を覆っていく。

エネルギッシュなパワーに満ち溢れているとともに、グラスゴーのバンド・サウンドに共通して言える暖かみのあるキャッチーさ、心に響き渡る優しい旋律もしっかりと残されている。静と動の感情どちらも併せ持つBiffy Clyroの魅力が体感できる一枚だ。(text by 碇 真李江)

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PROFILE

Biffy Clyro
サイモン・ニール(Vo/G)、ジェームズ(B/Vo)とベン(Dr/Vo)のジョンストン双子兄弟で結成した、UKロック・バンド。現在までに5枚のアルバムを発表。2007年に発表した4thアルバム『Puzzle』が全英チャート2位、2009年の5thアルバム『Only Revolutions』は全英3位を獲得し、UKを代表するモンスター・バンドへと成長。今年7月にイギリスで開催されるソニスフィア・フェスティバルでは、メタリカ、アンスラックス、スレイヤー、メガデス、スリップノットと並び、メイン・ステージに大抜擢された。また、フー・ファイターズとのジョイント・ライヴが発表され話題を呼んでいる。

[レヴュー] Biffy Clyro

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