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2025/07/05 17:30

 

【ライブレポ】Char、豪華ゲストを迎えて過去と未来を繋げた感動の祝祭〈Purple Phase Jam〉

 

Charが、古希記念ライブ〈Char Nippon Budokan Live 2025 - Purple Phase Jam〉を2025年7月4日(金)東京・日本武道館で開催。豪華ゲストが多数出演したステージは、まるでCharの自宅に招かれているかのような雰囲気で、人々が集い音楽を奏でる喜びに満ちた祝祭空間となった。

今年6月に70歳の古希を迎えたChar。この日のライブは、古希の祝色である紫とジミヘンの「Purple Haze」をかけたライブタイトル〈Purple Phase Jam〉のもと、Charが様々なフェーズで聴かせてきた音楽を総括する内容となった。

ステージ下手には、大阪のダイニングバー「ポテトキッド(POTATO KID)」を模したサブステージが設置されていた。酒場に集った仲間たちのパーカッシブな演奏に呼び込まれ、Charがステージに登場すると武道館の客席は総立ちに。オープニングは、デビュー前の1973年に結成されたバンド、スモーキー・メディスンのメンバーを中心とした【Smoky Medicine Jam】(Char(Gt)、金子マリ(Vo)、鳴瀬喜博(Ba)、佐藤準(Key)、古田たかし(Dr))による「Show What You've Got Inside Of You」で幕を開けた。Charがペイズリーのムスタングで軽やかなカッティングを聴かせると、金子が迫力のボーカル、鳴瀬がファンキーなベースソロで応える。「TOKYO NIGHT」では、「みんなの声を聴かせてくれ!」と合唱を求めながら、バックではバンドメンバーが1人ずつチェンジ。「知らないうちにバンドが変わるってそうあることじゃないでしょ?」と呟いて和ませた。

ホストを務めるChar Band(小島良喜(Key)、澤田浩史(B)、Tully Ryan (Dr)、佐橋佳幸(G) 、福原みほ (Vo))と佐藤準(Key)と共に、「空模様のかげんが悪くなる前に」を披露すると、「暑い中ようこそ!最後まで楽しんで行ってください」と挨拶してから、3rd アルバム『THRILL』収録のゴダイゴのメンバーとの共演曲「Tomorrow Is Coming For Me」へ。小気味よく洒落たサウンドに乗せた縦横無尽なフレージングが宙を翔ける。デビュー初期の歌謡ロック的な楽曲からAORテイストへの変遷が興味深い。サブステージはライブ中も出演者のたまり場となっており、メインステージを見つめながら歓声を送っている。普段のCharのフレンドリーな人柄が伝わってくる光景だ。

続いて、インスト2曲でゲスト・ギタリストと共演。「The Leading of The Leaving」では、はたけ(シャ乱Q)と共に泣きのメロディで空気を震わせると、入れ替わりで春畑道哉(TUBE)がステージに上がる。Charが長年のキャリアで初めてインスト曲を提供したという「I FEEL FREE」(春畑のソロアルバム『SPRING HAS COME』収録)のイントロでドッと歓声が起き、春畑の伸びやかなサスティンとバンドの迫力のキメの連発で沸かせた。

サブステージで行われた【Acuostic Guitar Jam】では、まず奥田民生が登場。椅子に腰かけてギターをつまびくと、隣に座ったCharと「セリーグどうなるかね?」(Char)「阪神強すぎでしょ」(奥田)と、野球トークに花を咲かせるリラックスムード。Charが「じゃあ、(忌野)清志郎と作った曲を」と紹介して奥田がアコギのストロークで歌い出したのは、「かくれんぼ」。忌野清志郎、Johnny, Louis & Charによるシングル「S.F.」のカップリング曲だ。演奏には、西慎嗣、佐藤タイジも加わり、4人で“大学のサークルの人たち”の雰囲気でソロリレーも披露。〈もういいかい まだだよ〉と声を合わせた。Charが「ず~っと大気圏外にいたことがあって(笑)、そのときの気持ちの曲を」とのひと言から弾き出したフレーズにざわめきが起こった「籠の鳥」を4人のギターアンサンブルとコーラスワークで聴かせて、武道館はしっとりとした空気に包まれた。

メインステージにどデカい音と共に登場したのは、金子ノブアキ、KenKenの兄弟。しばしのセッションからCharが加わり、ドラムセットの前に集まってから始まった「からまわり」のユニゾンリフに大歓声、「Hey!」と合いの手を入れるオーディエンス。重くて太いビートにCharのソリッドなギターが絡みあう。向かい合ってフレーズをぶつけ合い再びユニゾンして1つになるCharとKenKen、それを支える金子のグルーヴがJohnny, Louis & Char /PINK CLOUDを彷彿とさせて、思わずグッときた。演奏を終えるとKenKenが、「Charちゃんおめでとう!ジョニー!ルイズルイス加部!俺とあっくん、Jesseは3人のお父さんに育ててもらったんで。その中の2人はちょっと長いツアーに出てしまって会えなくなったんだけど、でもこうしてCharちゃんの大事な日に…ジョニーのドラムと、これマーちゃんからもらったコート(大歓声)。こうやってみんなで会えてよかったな。Charちゃんのおかげだ。ありがとう!」と感謝すると、「泣かせやがって!」とChar。

スペシャルゲストとして加部の2人の実娘と金子マリをコーラスに迎えての「Would You Like It」ではダンサブル且つクールな演奏で魅了。曲終わりにはCharが加部姉妹のもとへ、金子マリが息子たちのもとへと寄り添う胸が熱くなるシーンも。続いて、女性ゲストと入れ替わりでJesseが登場。「1997年の武道館のイベント(Char with Sons LOFT 20周年記念イベント「ROCK OF AGES 1997」)で、15歳のときに作った曲をやらせてもらいました。そのときのドラムがあっくん、親父がリードギター、俺がギターボーカル。そしてベースがレジェンドの藤井裕さんだったんですけど、その愛弟子のKenKenとその曲をやっていいですか!?」とのMCから、「ONE MORE TIME」へ。ひと際ラウドなサウンドが武道館に地響きのように鳴り響く。センターでギターをかき鳴らしラップするJesseに対してCharはGibsonレスポールゴールドトップで呼応してみせた。4人がドラム前に集まりテンポアップして曲を終わらせると、それぞれが抱き合い称え合ってステージを降りた。

Jesseはそのままサブステージに向かい、地元の仲間たちを紹介。「これが、いつものナチュラルな、ロックンロールを生んだ地元の戸越なんで、みんな受け入れてもらってもいいですか?よろしくお願いします」と、Charが週6は訪れているという地元の店「猿や」から生まれた「猿やバンド(仮)」がリスペクトを込めたPink Cloudの「Why Aren't You Ready」を、4人組ガールズバンドSHIVALAがはみ出さんばかりのオルタナティブな爆音による「ZIP IT」をスクリーム。地元の友人、親族も含めた人々がボーダーレスに音楽でCharの古希を祝福した。

舞台はメインステージに戻り、ギタリストの野村義男、Rei、山内総一郎、ドラムのZAX(The BONEZ)が集結。セカンドラインのリズムに乗せて、山内がスライドバーを滑らせて「Uncle Jack」へ。野村のソロからCharがブルースハープを吹き、Reiのソロでは「Purple Haze」を挟み込む粋な演出も。王道のロックギタリストのセッションが満喫できるコーナーだった。再びサブステージにスポットが当たる。Charの高校時代の後輩・クリス・ペプラーが登場して「みなさん、楽しんでますか!?」と呼び掛けると、バーのマスターになり切って「ここで、このお店に最高の上客が足を運んでくれます」と、ゲストの布袋寅泰を呼び込んだ。布袋は、「僕がギターを弾くきっかけになったのはCharさん。Charさんの存在無くして今の僕はここにいないです」と、最上級の賛美と感謝を伝えた。トークは4月に2人が出演した「ミュージック・ステーション」で話題になったアクシデントのエピソードに。Charによると、リハーサルでギターを倒してしまい無事だったものの、本番でアーミングした際にペグが壊れてしまったそうだ。「そこで取り繕うかなと思ったら、堂々とチューニングし始めて(笑)。全国放送で堂々とチューニングするなんてさすがだなって。僕にはまだできません」(布袋)「あれは神業と言われてますよね」(クリス)「いや、焦ったよさすがの俺も(笑)」(Char)とのやりとりに、武道館からは笑いと喝采が起こった。「今日はそのリベンジをしたいんですよ」とのCharの言葉を受けて、メインステージで2人による「SIDE BY SIDE」が披露された。布袋の鋭いカッティングに単音フレーズで返すChar、日本の偉大なギタリスト2人による珠玉のインストナンバー、感情表現豊かなギタープレイに大いに惹きつけられた。布袋の「Charというギタリストがいる時代にいられて、俺たちは幸せです!」との言葉から、ステージ、客席一体となって「ハッピーバースデー」がCharに贈られた。

ライブも終盤に差し掛かかり、サブステージで鳴るパーカッションに乗せて、メインステージには若手ギタリストの2人、山岸竜之介と並木瑠璃が登場した。幼い頃から天才ギター少年、少女としてTVでCharと共演してきたことで知られる山岸、並木。Charが改めて2人を紹介してステージに加わると、バンドのセッションからそのままイントロなしの「Smoky」に突入した。間奏のCharのカッティングソロを経て、山岸、並木の順にソロ、掛け合いも聴かせて場内は大盛り上がりに。躍動的でソリッド且つ、20代にして貫禄すら感じさせるギタープレイは圧巻のひと言だった。

アンコールでは、出演者全員とゲストのDef Tech を迎えて、この日のために作られたという新曲「NOW NOW JUICE」を初披露。客電がつき、煌々とした灯りの中でステージも客席も〈NaNaNa~〉とコーラスでひとつに。途中、Charは「スペシャルゲスト、石田長生!」と、2015年にこの世を去った盟友の名を叫び自ら“石やん”と化したChar。「大阪から来た甲斐あるぜ」と客席を見渡すと、2人のユニット・BAHOの「HAPPINESS」を歌い出し、コール&レスポンス。〈戦争反対!〉〈HAPPINESS!〉とやり取りする場面もあった。ステージにCharバンドだけが残ると、「Shinin' You Shinin' Day」から、「Natural Vibration」へ、ライブアンセムを連投。間奏明けにレゲエに変わるアレンジで、ステージを照らす照明もラスタカラーに。しばしのチルアウトタイムから、再びシャッフルに戻り、興奮を掻き立てる白熱の演奏で〈Natural Vibration〉の大合唱でライブを締めくくった。

最後はJesseがまとめ役となって、ステージに全員を招集して記念撮影を実施。改めて、「おめでとうー!」と祝福されたCharは、「みんなどうもありがとう!」と感謝を伝えて、長丁場のステージを後にした。Charが我が家にお客さんを招くように楽しませてくれた2時間半。自身の歴史を辿るキャリアの総括的なライブであると同時に、代表曲の「Smoky」で山岸、並木の2人を前面にフィーチャーしたところに、音楽に未来への希望を託したCharの思いが凝縮されていたように感じられて、とても感動的な一夜だった。

PHOTO:土居政則
取材・文:岡本貴之

ライヴ情報
  〈Char Nippon Budokan Live 2025 - Purple Phase Jam〉
2025月7月4日(金)東京・日本武道館
〈セットリスト〉
【Smoky Medicine Jam】
1. Show What You've Got Inside Of You
2. TOKYO NIGHT
【Char Band +佐藤準】
3.空模様のかげんが悪くなる前に
4. Tomorrow Is Coming For Me
5. The Leading of The Leaving(Withはたけ)
6.I FEEL FREE(With春畑道哉)
【Acuostic Guitar Jam with 奥田民生、西慎嗣、佐藤タイジ】
7.かくれんぼ
8.籠の鳥
【Johnny, Louis & Char / Pink Cloud Jam with 金子ノブアキ(Dr)、KenKen(B)】
9.からまわり
10. Would You Like It(With 金子マリ / 加部姉妹)
11.ONE MORE TIME(With Jesse)
【Free Jam】
12. Why Aren't You Ready (猿やBAND(仮))
13. ZIP IT (SHIVALA)
【Purple Phase Jam / Char Band】
14. Uncle Jack(With野村義男、Rei、山内総一郎、ZAX(The BONEZ)
15. Side by Side(With布袋寅泰)
16.Smoky(With山岸竜之介、並木瑠璃)
アンコール
17.NOW NOW JUICE(With Def Tech and more...)
18. Shinin' You Shinin' Day
19. Natural Vibration

参加アーティスト(出演順不同)
【Char Band】Char (Gt) /小島良喜(Key)/澤田浩史(B)/Tully Ryan (Dr)/佐橋佳幸(G) /福原みほ (Vo)
【Smoky Medicine Jam】金子マリ(Vo)/鳴瀬喜博(Ba)/佐藤準(Key)/古田たかし(Dr)
【JLC/Pink Cloud Jam】Jesse(Vo.Gt)/金子ノブアキ(Dr)/KenKen(Ba) / 加部姉妹(Vo)
【Purple Phase Jam】野村義男(Gt)/春畑道哉(Gt/TUBE)/はたけ(Gt/シャ乱 Q)/山内総一郎(Gt)/Rei(Gt)/山岸竜之介(Gt) / 並木瑠璃(Gt)
【Acuostic Guitar Jam】奥田民生(Vo.Gt) / 西慎嗣(Gt)/ 佐藤タイジ(Gt)
【Free Jam】猿やBAND(仮)/ SHIVALA
【Special Guest】布袋寅泰(Gt) Def Tech (Vo)

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